日语考试一级语法练习及答案解析(29)
悠子は、表に出ると、まぶしい日射しに目を細めた。 自由。自由なのだ! 人をはねた、そのことが、逆に自分の「武器」になる、と悠子は気付いたのだった。 久米子は、悠子が「やっぱり気が咎め(とがめ)ます。自首したいんです」と言い出すと、あわてて悠子のご機嫌を取り始めた。 それは何とも愉快な経験だった。悠子は、久米子と調子を合わせておいて、一方で、夫の会社へ電話をした。 小心な夫は、放っておけばだれも気にしない小さな凹(くぼ)みを、何とかしようとして、墓穴(ぼけつ)を掘ったのだ。悠子の予測通りだった。 刑事が訪ねてくるタイミングも、絶好だったし、よもやと思ったことが―――久米子まで、息子と運命を共にするという、夢のような結果になったのだ。 歩きながら、悠子は、つい笑み(えみ)がこぼれるのを押さえ切れなかった。 私と健一で、楽しく暮らせるんだわ。その内には、すてきな男性が現れるかもしれない...。 悠子の足取りは軽かった。 「そうだわ」 |